グローバル・タレント・ビザと呼ばれるハイスペック限定のビザが緩和されます。
こんにちは、うめ太郎です!
オーストラリア政府がCOVID-19後の景気回復を見据え、緩和に踏み切りました。これによってビザが申請できる業種や人数が大幅にアップ。
具体的な影響は?そもそもグローバル・タレント・ビザは何なのか?
ビザ申請の業種が拡大
全てのビザには申請できる内容に制限が設けられています。お仕事系なら職業の種類に制限が設けられているのはよく知られた事ですね。
グローバル・タレント・ビザも同じで、これまで7業種からで働く人に対してしか申請を受け付けていませんでした。
ちなみに、その7業種とは
- 農業食品
(agri-food) - 農技術
(agtech) - エネルギー
(energy) - 健康産業
(health industries) - 防衛、高度な製造および宇宙
(defence, advanced manufacturing and space) - デジタル技術
(Digitech) - 金融サービスとフィンテック
(financial services and fintech)
これらの産業はオーストラリア国内だけにとどまらず、世界にとって重要な産業とも言われています。
今回加わった3業種は
- 教育 (education)
- 観光 (tourism)
- 循環経済 (circular economy)
です。 教育・観光は今回のCOIVD-19関係で一番ダメージを受けたセクター ですね。
オーストラリア政府としても経済を立て直したいのが伺えます。
循環経済(circular economy)はあまり聞き慣れないセクターで、私も今回の記事で Wikiを使って調べた りしましたが、わかりやすく言えば、 資源を再利用するようなタイプの経済に関わる業種 だと思います。
例えば、リサイクル産業や修理・太陽光発電などが当てはまると思います。
地球の環境や資源が云々というのは置いておいて、将来性のある成長産業だからでしょう。
豪政府に関わらず、こういった法改正を通して経済の主要産業をシフトしていくので時代の流れかと。
移民受け入れの人数が3倍に
オーストラリア政府は毎年、ビザごとに受け入れる人数を決めています。
移民局はその計画によってビザの発行数を調節しており、グローバル・タレント・ビザはこれまで 2019-2020の会計年度時には5,000人が割り当て られていました。
それが、2020-2021年の会計年度は 3倍の15,000人にアップしました !
前述の、ビザが申請できる7業種から10業種への拡大を考えても大幅な緩和がされています。
この15,000人の中にはメインのビザ申請者の他に、家族や子供(secondary applications)が含まれたり、Subsequent Entrantを使った国外からの入国も含まれているので、
- 人数=それだけの人材
が増えるというわけではない。
5,000人が少なかった
グローバル・タレント・ビザが思ったより人気があった事実もあり、当初の5,000人へのビザ割当は少なかったデータもあります。
A total of 4109 people were granted GTI visas from 5923 expressions of interests (EOIs) over the first seven months
初めの7ヶ月ですでに5,923人のEOIが提出されているんですね。EOIとはポイント制のビザを申請する際に、申請するものです。
詳しくは「 ポイント制のビザを目指すならスキルセレクトとEOIから知ろう 」で書いています。
とすると、 EOIの提出数的に、1年間で1万人ほどの需要が見込めるわけで、5,000人はそもそも少なかったん ですね。
思ったより需要があるわけです。しかも後述しますが、このグローバル・タレント・ビザはかなりハイスペックな人しかビザの審査をパス出来ません。
そういう人たちがオーストラリア政府が思っていた以上いるわけで、嬉しい事実。
政府も需要に合わせる、いや、十分な需要に対応できるようにビザの割当数を3倍の15,000人に増やしたわけですね。
グローバル・タレント・ビザって?
いわゆるポイント制の永住権です。ポイント制と言ってもいくつかカテゴリが別れており、今回のハイスペック限定のこのカテゴリ以外にも
- 一般の技能労働者
- 起業や投資
があります。グローバル・タレント・ビザは Global Talent Independent (GTI) programの枠組みで運用されており、ビザはS858とS124が当てはまります 。
一般の技能労働者向けは、 S189の技術独立ビザ が有名ですね。 投資ビザで現実的なものはビジネスの起業 があります。
年収が桁違いに高い
投資系のビザでもそうですが、グローバル・タレント・ビザのようなハイスペックな人材を見極めるのはもう技術査定とかでは難しく、いくら稼いでいるのかで査定されます。
このビザの場合は、$153,600ドルが基準ですね。
オーストラリアの平均年収が$89,122ドルなのでかなり仕事ができる人たちというわけです。
感覚的に理解できるように日本に置き換えてみましょう。
2020年の日本の平均年収はというと、436万円です。これに1.72倍を掛けるので、年収749万円ほど貰っている人ですね。
あれ?意外といるのでは?と思いました。
実際の金額ベースでいくと日本円をオーストラリアドルに換算することになると思うので年収1200万円くらいの人ですかね。
そう考えると、かなりのハイスペック人材が求められている事がわかります。
人材引き抜き合戦
このグローバル・タレント・ビザの法改正を見ただけで一概に言えませんが、ビザを与えられる人たちは、オーストラリアにとって「旨味のある果実」でなければなりません。
オーストラリアの移民法というのは、 ビジネスと直結しており、そういう「美味しい人達」が求めらています 。
それは、学生としてオーストラリアの経済に貢献した人たち、労働者であれば教育費が掛からず職業遂行能力を持っている人やすでにそういった職業能力を使って仕事をしている人たちですね。
いわゆる、オーストラリアにとって重荷にならずにお金を生み出してくれる人たちです。
グローバル・タレント・ビザを与えられる人というのは、 オーストラリアでも大企業で働いている外国人労働者 。
その大企業では永住権のスポンサーになることはしないそうです。
ただ、これだけの給料をもらえている人たちというのは明らかに能力があり オーストラリアの経済的、技術革新的に必要とされている能力を持っている人たちで、彼らをオーストラリアに留めておきたい意図もあるのでは と思います。
COVID-19によって全世界のあらゆる国で経済的なダメージを受けており、そこから経済の立て直しをするためには優秀な人達を集めておける仕組みが必要なのかもしれません。
もちろん、長期的な国の発展を考えてもそうです。
もしかすると、これからはそういった世界規模での人材取り合い合戦が繰り出されるのかもしれませんね。
オーストラリアに移住したいと思う全ての人に幸運を。
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