オーストラリアの住宅バブルはもう終わりを迎えましたね・・。
今後は、家を買っても下手をすると何十年も価格が変わらないことも十分あり得ると思います。
というのも、これまでの住宅価格が高くなりすぎたから。今後は緩やかに下降しつつ、ある程度のところでゆっくりと持ち直すような感じになりそうです。
今回はいくつか住宅に対する政府の施策や規制を紹介しながらこれからの住宅市場について考えていきます。
家の値段は長期的に下がる
2015年から2017年に家を購入した人にとっては残念なお知らせですが、家の値段が一番高いときに買っていますね。
毎年何万ドルも家の値段が上がっていたのは2017年くらいまで。価格が上がるのはそれだけ家を購入したい人が増えたからですが、その大きな原動力になっていたのが
- 中国の爆買
- 金利のみローン制度
オーストラリアは家の購入が就労ビザの方でも家が買えるような制度がありました。もちろん外国人にとっても簡単に家を買えました。
中華系のお金持ち外国人たちがこぞってオーストラリアで家を買いまくるので家の価格が上がります。
それに加えて金利だけ毎月支払うローンがあるので、家の価値が毎年のように上がっているトレンドのときは金利だけ支払って数年後に売ろう!と考える永住者も増える。その結果、家の値段がバク上がりしたんですね。
ただ、2018年頃からのオーストラリアと中国の関係悪化や、金利のみローンの制度の改正で簡単に利用できなくなったこともあり家を購入する人が相対的にヘリ、家の価格が落ちている感じです。
外部リンク:The dangers interest only loan, Australia restricts interest-only loans to cool housing market
金利のみローンとは
ここでちょっと金利のみローンについて説明しておくと、言葉の通り、「毎月のローン返済は金利だけ返す」ことができる制度です。
家のローン返済は、
毎月の返済=利子+元金返済
ローンの内容にもよりますが、だいたい月々の返済額の3分の1が利子、残りが元金返済になっています。
少なくても私の30年ローン返済はそう計算になっていました。
したがって、金利のみローンを組むと、月々の返済額が3分の1だけで家がもう一つ持てるんですね。
しかも、その持っている家は税金の控除対象にもなるので節税もできる。
オーストラリアは一時期、毎年1万ドルから2万ドルも家の価格が上がっていたので金利だけのローンを支払っていても5年、10年後にはとっても大きな利益を生み出せるんですね。
どれくらい利益がでるのか?
この金利だけローンは投資用の家を買う人にベストな制度で、例を上げてみると。
Vさんはお金をもっと増やしたいと思い、年々住宅価格が上昇している市場に目を向けた。Vさんは、過去10年の住宅価格の変動から5年後には購入額の1.3倍で売ることができそうだと分かる。
普通のローンだとVさんの所得がイマイチなのでローンを組めませんが、金利だけ返済であれば組める。
そこで金利だけ返済を使って家を購入し、5年後に売ってしまおうと考える。
そうして、購入するというわけです。
しかも家の値段が30万ドルで購入して5年後には1.3倍の39万ドルで売れるとすれば9万ドルの儲けになるわけです!金利が毎月500ドルだったとすると、5年間で3万ドルになるので、6万ドルの利益になるんですね。
これはうまい!そういう事でいろいろな人が家を買いまくっていたわけです。
住宅価格が上がりすぎ
この制度は当初は景気対策としてはとても効果がありました。リーマン後の景気回復をさせたエンジンだと言われたくらい。
ただ、金利だけローンを利用した人たちがどんどん家を買ったため、住宅価格が爆発的に高くなる副作用も出てきたんですね。
投資ではなく、普通に家を持ちたい人が家を買えなくなるくらい。
そうなると、住宅用に購入を考えている人は、毎年10%前後も住宅価格が上がるのを目にし、今買わないと来年はもっと高くなるという事で彼らもバカ買いと知りつつ家を購入。
その結果、住宅価格が毎年さらに上がりました。
シドニーの住宅価格は12倍
そうした結果、シドニーの平均住宅価格は1億円になりました!
平均年収は800万円にもかかわらずです。
これはすごいですね。誰も家を買えません。
今、住宅の支払いが出来ないという人が増えており、バブル崩壊の危機に直面しているわけで、政府もとうとう対策をするべく法改正をしたというわけです。
当然ですよね、年収の10倍以上の家を購入なんて現実的ではありませんから。
日本だと平均年収500万円の人が6,000万円の家を購入するのと同じです。
無理があります。
住宅価格を下げるための政策
オーストラリア政府は家の価格を上げている「金利のみローン」に対する制限を厳しくしました。
住宅価格の3割に対してだけ金利のみローンを可能とする
また、
住宅価格の8割に対して金利のみローンと適用する場合は厳格なチェックを行う
というわけです。簡単にだれでも金利だけローンを使えなくなった。家を買える人が少なくなったんですね。
政府、新築補助のサポートも効果なし
新築を購入した人に対して政府から$55,000ドルのサポートがあるやろ?
という声が聞こえてきますが、たしかに瞬間的には家の価格は上がっています。
うちの会社のお客さんは家を販売する会社なので売上を月ごとに知れます。確かに売上は2012年レベルまで戻りました。
ただ、安い家が売れまくっているだけ。
政府から$55Kの住宅購入サポートがあるにも関わらず安い家が売れており、普通またはちょっと良い家の売上は変わっていません。
これはどういう事なのか考察してみると、これまで家を買うことができなかった低所得の人たちが政府の支援ありきでやっと購入できるようになったと見るべき。だからこそ、安い家だけ爆発的に売れているわけです。
もしくは、政府からの補助金を家のクオリティを上げることに使わずに、ローンの借り入れ金額を減らすためにあえて安い家を買っているかのどちらか。
どちらにせよ、住宅市場は弱気ですよね。
来年はリバウンドする
さらに、この手の大規模な政府からの補助はリバウンドを招きます。
今年、来年、もしくは再来年に家を買おうと計画していた人は政府からの$55Kの期限が迫る2020年中に家を買うはず。
そうなると、来年に家を買う人はめっきり減ると思うんですよね。
私は家の価格が落ちるどころではなく、住宅販売業者が倒産するのではないかと予想しています。
結局は家の値段はしばらく下がる
ここ最近は中国との関係も明らかに悪くなっており、中国政府もオーストラリアへの渡航を控えるように発信しています。
そういうことからも、家の価格は今後とも引き続き下がり続けるでしょうね。
投資用に家を買うのは場所を選ばないと痛い目に合うと思います。住宅用でもある程度のエリアに住んでおかないとすぐに治安が悪い地域に様変わりするかもしれません。
何れにせよ、家の購入はバブルの時よりかは慎重になるべきですね。
今回の記事が参考になれば幸いです。
ありがとうございました。
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