今は廃止された、就労ビザである457ビザですが、未だに状況に合わせてビザの変更が加えられていますね!
こんにちは、うめ太郎(@o_sutoraria)です!
オーストラリアのS457ビザはこの数年でかなり色々と変更がありました。変わったというか移民法の影響を受けています。COVID-19に対する支援も含めて良い変更と悪い変更がありますね。
2019年11月に地方ビザがリリースされ「457ビザからの道は?TSSからの道は?」など色々情報が流れていますよね。また、その他にもS457ビザを持っている人に対するチェックも厳しくなりました。
そこで今回は、S457ビザの変更点をわかりやすく整理することにします。今、S457ビザを持っている人にとっては移住への道標に、そうでない人に対しても今後の法変更がどのように行われるのかについての将来のヒントをつかめると思います。
S457ビザの変更点をサラッと
まず、457ビザはオーストラリアで働けるビザ。移民局ではSubclass 457として呼ばれているのでわかりやすくビザ業界ではS457と呼んでいます。この就労ビザはオーストラリアが移民を本格的に受け入れる事を決断した1996年に誕生しています。
当時は仕事が見つかると永住権がほぼ無条件で取れる内容でこの時からS457ビザを使って移民がオーストラリアに流入しています。昔は永住しやすかったんですよね!
それが2012年に2年働くことで永住権が取れるように変更。またオーストラリアで不足している職業を中心にビザを割り当てるようになりました。
ここ1〜2年で移住を目指した人には馴染みが無いと思いますが、CSOLやSOLなど名前くらい聞いたことがある人は少なくないはず。この2つはオーストラリアで不足している職業が集められているリストなんですね。
後で詳しく話しますが、この職業リストも目的が変わり、一言でいうと不足している職業からは永住権が申請できなくなった事。かわりに経済発展に大きく関わる職業からは永住権への道があることですね。
本格的なS457の変更
ただ、オーストラリアの景気が右肩下がりに落ちてきたのが2016年。それ以降、オーストラリアにとってとっても価値ある人だけS457から永住権への道を作ろうと法改正を始めたのが2018年。
移民法改正の話が出た当時はS457から永住権の道が閉ざされる予定だったところ、2017年4月までにS457ビザを持っている人に対しては影響出ないということになり一旦は落ち着いています。
そういう紆余曲折ある情報が未だにネットに残っているので何がどうなっているのか掴みづらいんですよね。
S457ビザからの永住権
S457はTSSビザ(S482)に変わり、その際に2017年4月18日までにS457を持っている人に対しては「これまで通りのルール+IELTS6相当の英語力」で雇用主指名永住権(S186)を申請できます。
それ以降にS457が発行された人に対しては、MLTSSLに載っている職業を持つ方だけが永住権を申請できることに。
職業リストは2年のSTSOL職業リストと、4年のMLTSSL職業リストがあり、オーストラリアの経済に重要な影響力を持つ職業リスト(MLTSSL職業)だけから永住できるってことですね。
S457からRSMSの申請への影響は?
2019年11月の法改正に伴って、2017年4月18日までにS457ビザを持っている人は、Transitional 457 Workderとまとめられ、その人たちに対してはRSMS永住権を申請できる事になっています。
外部リンク(英語):Skilled visa news letters 2019
S457のチェックが厳しくなる
お仕事関係に関わるビザには最低賃金が設けられており、S457の場合はAUD $53,900の年収が必要です。
この年収が実際に支払われているかどうかのチェックが移民局と税務局(ATO)との間で2019年から行われるようになりました。
ほとんどの会社ではしっかり支払われているはずですが、ごく一部の違法な会社ではビザの見返りに契約より低い給料が支払われている問題があるんですね。
移民局はこれまで何度も不正に対するチェックを厳しくする発言をしていますが、今回の変更もその一つでしょう。
外部リンク: Five important immigration changes in Australia in 2019
S457ビザからTSSへ移行期間
S457ビザは2018年にTSSビザに新しく生まれ変わりました。オーストラリアのビザ制度というのは、法改正が行われたからいきなりビザが失効するようなことはなく、法改正の影響をあまり受けない様に配慮されています。
移行期間や暫定処置と呼ばれていますが、法改正が起きる前に持っていたビザの条件が維持されるような形ですね。例えば、永住権が申請できる条件が変わらないなど。
ただ、S457ビザの法改正ではそういった処置を受けられる人と受けられない人が居ます。例えば、新しいTSSビザでは4年の期限があるビザだけが永住権への道があります。
会社がビザをサポート → 永住権
2017年4月18日までにS457ビザを持っている場合は、
- 2年働く
- IELTS6相当の英語力
で永住権を申請できます。
2017年4月18日以降にS457ビザが発行された人は、
- 職業がMLTSSL職業リストに載っている
- 3年働く
- IELTSの6相当の英語力
で永住権を申請できます。
S457ビザ→RSMS
2017年4月18日までにS457を持っている人はRSMSを使って永住権を申請できます。
それ以降は新しい地方ビザを経由して永住権を申請することに。
また、ビザ申請時に移民局に提出した契約書に記載の給料が本当に支払われているかどうかのチェックも行われている事も書きましたね。
ビザを取ってからの転職も難しく
S457ビザを申請するためにはビザをサポートしてくれるスポンサーが必要ですが、一つの会社で働き続けなければならないわけではない。嫌なら別の会社に転職が可能です。
この転職が少しトリッキーになっていて、転職先の会社はまたスポンサーの準備をしなければならないんですね。
法改正が行われた後は、転職や解雇で会社を離れる場合になった時に別のスポンサー(会社)を90日以内で探す必要がありましたが、それが60日に変更になったこと。
これはスポンサー申請を60日以内にする事というわけです。つまり転職の際はある程度次のアテがあることを見越して退職しなければならないということになったわけですね。
細かな条件はコンディション項目へ
こういった細かな変更は移民局のビザ詳細をみても載っていません。代わりに、そのビザを維持するために必要な条件(コンディション)と言われる形で管理されており、
S457に限らず、すべてのビザには守らなければならないルールがあります。その中の「コンディション8107」の条件に転職時にビザを維持するための条件が書かれているのです。条件が代わるということですね!
ちなみにこのコンディション8107の他にも、ビザを保有している家族が守らなければならないルールもあります。例えば、「コンディション8501」がありますが、これは健康保険に入らなければならないルール。
色々とあるので一度は確認したほうがいいとお思います。VEVOと言われているオンラインツールから確認できます。
COVID-19の影響とサポート
2020年の3月からロックダウンなどの影響によりS457ビザのご家族が入国できない等の問題が起きています。
それについてオーストラリア政府は2021年から次回のビザ申請を無料にする準備を進めています。
また、労働時間が減った場合や一時的に解雇されてから再雇用された場合でもその間の期間は永住権申請に必要な期間として認められる事になっているので安心してください。
S457のビザ変更について2021年時点の最新情報を踏まえながら説明していきました。オーストラリア政府は移民法を変えながら継続的に国が発展していける様に工夫しています。その関係でビザが廃止されたり、置き換わったりしていますが、そうやって消えていったビザを保持している人に対してはちゃんと配慮してくれるのもオーストラリアが移民国家として成功している理由でしょうね。
この記事がこれからオーストラリアで永住をめざす人に参考になれば幸いです。
オーストラリアに永住したいと思う全ての人に幸運を。
ありがとうございました。