オーストラリアは今も人種差別があります。
人種差別と言っても国としては当然かなり厳しい法律で取り締まっているのであまり表立っていませんが、これは差別だなと感じることはしばしばあります。
ただ、生活する上で支障がない程度の差別です。ちょっとイラッとしますが。
今回はオーストラリアに5年住んでみて感じた人種差別についてこれから移住する人に参考になるように考えていきます。
今も残る人種差別の根っこは白豪主義
オーストラリアの人種差別の歴史を見ていくと白豪主義と呼ばれる「白人が何事にも優先されるべきという考えと、そこからくる黄色人種に対する迫害・排除の考えや政策」があります。
人種差別政策は1972年に政権が変わるまで続いていましたが、現在では制度としての人種差別は完全に廃止されています。
なので、もう過去の話。
というわけでもないんですね。
オーストラリアの人種差別を理解する上で大事なポイントは白豪主義の下で行われていた教育。
人種差別的な制度が残る1973年までに教育を受けた人たちが今もオーストラリア社会の中にたくさんいることを頭に入れておくと今も残る差別について理解しやすいです。
人が小さい時に受けた教育や価値観というのは大人になってからの行動にある程度影響するもの。
いくら制度的に肌の色や国籍で差別するような政策がなくなったと言えど、一度植え付けられた考えというのは簡単には消えませんよね。
アジア人 = 格下
と見られる現実。
肌の違いや民族の違いからくる差別に関わる記事を読んでいくと、ここ最近でも未だに人種差別が残っていることがわかります。
英文ニュースからの引用ですが、アジア系オーストラリア人が会社の要職に付いている割合はたったの3.1%だけ。さらに8割の方々が人種差別を経験したことがあると答えています。
また、2008年にオーストラリアの大学が白人オーストラリア人を対象に、人種に対する考えについて調査しました。
回答者の半分が「オーストラリアに住むのにふさわしくない人種がいる」と答えています。また、その内10%は未だに白人のほうが民族的に優れているとの回答をした人も。
この調査を見ても、白豪主義の政策の下に行われた教育を受けた人たちの根の深さがわかる内容のひとつだと思います。
今後100年で差別も無くなる?
そう考えると、あらゆる差別が撤廃されて、多文化共存主義に変わっていった1973年以降にオーストラリアで生まれた人たちがほぼ全員となる100年後には差別はなくなるのか?
と考えた時に、やっぱりそうでもないとボクは思います。人間なのである程度価値観の違いはあるのが普通。全員の思想を統一するなんて無理だとおもうので。
とは言え、今よりもさらに人種差別がない国になっているのは確か。
そう考えると、これからオーストラリアに移住を考えている、もしくはそのまま永住を考えている人たちの子孫、日系○世の時代は今よりも差別を感じにくい世の中になっているのではと思いますね。
リアルな人種差別の体験を話します
移住・永住を考えた時に子孫の時代に住みやすい国というのは魅力的です。ただ、まだある程度差別を感じる世の中で生活していくボクたちにとって、オーストラリアは住みやすい国なのか?
もちろん、そのモノサシというのは色々あると思いますが、ここでは人種差別的な部分だけにフォーカスして考えていきます。
とりわけ、「これは人種差別でしょ」と感じたできごとは下の通り。
- 目があった白人から手でシッシ。
- 道を歩いていると罵声を浴びせられる。
- オージと歩いていると子供に「一緒にいて恥ずかしくない?」と言われる。
- 車にひかれそうになる。ドライバーはニヤニヤ。
- 目があっただけで中指を立てられる。
- スーパーで質問すると、「お前の見間違い」と一言。
まぁ、我慢できるレベルの差別ですね。
どれくらい白人と関わる生活をしているかによって差別を感じる頻度というのは変わってきますが、ボクの場合は年に数回程度。
移住してからの数年がキツイ
特にオーストラリアに来てからの初めの1,2年が一番差別を感じる時期でもありました。
理由ははっきりとはわかりませんが、おそらく、長くオーストラリアに住んでいくとその土地に住んでいる雰囲気みたいなのが出てくるのかな?と自分の中ではそう結論を付けています。
もちろん、未だに「あ、これはアジア人だからだな」と思えることは時々ありますがその感覚は減ってきていますね。
人種差別に対する「慣れ」みたいなものもあるのかもしれません。
これから移住を考えている人はとりあえず、生活の基盤が固まるまでの初めの数年は多少のことに我慢できる気概は必要だと思います。
人種差別と関わりたくないなら
とは言え、オーストラリアで生活中に嫌な気持ちになりたくないもの。とりわけ肌の色とか道理的に納得のいかない部分だとなおさらです。
できるだけ差別を関わらないようにするには住む場所は大事。
治安の悪い地域を生活の拠点にするのは避けたほうがいいですね。治安が悪くなる理由は交番が少ないなど色々ありますが、やっぱり貧困などの理由が共通としてあると思います。
人種差別をする人というのは心理的にも社会的にも安定してない人とボクは捉えています。
たとえ心の中で差別意識を持っていてもまったく金銭的なメリットがない(価値を生まない)トラブルを避けるのがそれなりの社会人というか知識層だとも思います。
それの見境をうまくコントロールできないのが精神的にも安定していない人たち。そんな方は社会の安定も築けません。
あまり上手に説明できませんがそんな感じだと思います。
なので住む場所や遊びに行く場所をある程度しっかりしたところにすれば人種差別を感じる頻度も少ないと思います。
人種差別と上手に付き合うのが賢い選択
人種差別はどの国に住んでいても多少は感じます。
外国に住んでいるわけですから日本人はマイノリティ(少数派)になるのは否定しようがない事実。
人種差別を避けるためにアクションするのは基本スタンスとして「あり」ですが、諦めるのも手。
国籍や肌の違いで差別はされると受け入れて、そこを基本に生活をしていくことのほうが賢い生き方だと思います。
差別はどの国にもあるもの、と受け入れることで「慣れ」がでてきます。そうなると人種差別だなと感じた時にそこまで深く考えることも無くなる。
むしろ、この国はそういう国なんだと、ある程度、割り切って考えられるので楽ですね。
最後に、差別がある=住みにくい
わけではない
少なくても今のオーストラリアは人種差別を制度的に完全に無くし、差別がしにくい仕組みづくりをガッチリとしている国です。
差別があるだけで移住の候補からオーストラリアを外すのは賢明ではありませんね。
オーストラリアは今や肌の違い、文化の違い、価値観の違いを国の力に変えている国でもあります。
暗黒時代があったからこそ、今のオーストラリアがここまで多民族国家になった側面も否定できないわけでその国で多様性ある教育システムを受けられる子どもたちはとってもラッキーだとも思います。
ということで、オーストラリアには未だに多少は人種差別があるけれどもそこまで気にするレベルではないのがボクの考えですね。
ありがとうございました。
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