こんにちは、うめ太郎です
オーストラリアの州から永住権のスポンサーになってもらい申請するSkilled Nominated (S190)ビザは取りやすいです。
たとえ就職先が決まらなくても永住権が取れるんですね。
え?州政府からスポンサー?と聞くとハードルが高いと思うかもしれませんが、条件さえ満たせばいいだけ。しかも結構現実的。
これからオーストラリアの永住権を目指している人には必ず選択肢のひとつとして考えてほしいビザでもあります。
今回は技術指名ビザと呼ばれているS190永住権を取る方法について考えていきます。
S190永住権って?
数ある永住権の中に、自分の年齢・英語力・学歴・お仕事経験をポイント化して一定以上とれた人に発行しているビザがあります。
それがS190永住権。日本語では技術指名永住権とも呼ばれています。移民局ではSkilled Nominated Visa(S190)として公表していますね。
俗にポイント制の永住権と呼ばれていますが、詳しくは「【オーストラリア】ポイント制の永住権を解説!計算方法も!」を読んでください。
S190ビザは最低65ポイント以上で永住権の申請ができることになっていますが、実際はお仕事経験によりけりです。
州でとっても不足している職業であれば65点で永住権の招待がされますが、そうでなければ80点、85点必要な職業もあります。
つまり、州で一番不足している職業はS190を使って永住しやすい訳です。
技術指名ビザ(S190) vs 技術独立ビザ(S189)
技術指名ビザ(S190)によく似たビザに技術独立ビザ(S189)があります。永住への考え方はほとんど同じ。
同じポイント制のビザなので何が違うのかわかりにくい。もしくはどっちが取りやすいのか判断しにくいですね。
S190は技術独立ビザ(S189)と比べて次の2つの大きなメリットがあります。
- 永住できない職業でも永住できる
- ポイント制で有利
永住できない職業でも永住できる
まず、永住権を取れる職業というのが決まっています。S189ビザの場合はMLTSSLと呼ばれる中・長期的に経済的に価値がある職業で数が比較的少ない。
それに対して短期的に不足している職業のリストはSTSOLと呼ばれていて数も多いですが永住権への道がありません。
しかし技術指名永住権(S190)はSTSOLの中から州が特別に認めた職業に対して永住権を用意しているんですね。
S190は自分のお仕事経験がSTSOLに載っていても永住ができる永住権と考えてください。
外部の記事(英文)も合わせて読むと参考になると思います。
ポイント制で有利
州政府が永住権のスポンサーになる兼ね合いで、+5ポイント加算されます。
つまり自分の能力点で必要になるのは65点→60点になるわけです。
5点と言うと、1万5000ドルほど使って手に入れるプロフェッショナルイヤーと同じくらいの価値があります。
後もう少しポイントがあれば・・・という人は技術指名ビザ(S190)で夢が叶えられることもある。
それくらい5ポイントというのは大きいです。
それだけにS190は魅力的ですね。
S190永住権までの流れ
永住権申請までの流れは大きく3つのステップを踏みます。
- EOIの提出
- 州からのインビテーション
- S190永住権の申請
EOI、インビテーションあたりが新しい言葉ですね。
EOI(Expression of Interest)は意訳すると「永住権が欲しいことを伝える」ことです。具体的にはスキルセレクトと呼ばれる技術移民ハンティング・サービスと呼べるものを使って永住権に応募します。
ちなみに、スキルセレクトを使った応募は無料でできますが、65点に満たない人は自動でスルーされます。
これがポイント制システムは公募制と呼ばれる所以なわけですが、州政府はポイントの高い人から順番に永住権のスポンサーになります。
スポンサーになると同時に、永住権の招待(インビテーション)が応募者に送られるわけで、その通知を受け取った後に本命のS190永住権を申請するわけです。
移民局が公開している永住権までの流れは下のとおり。
移民局のHPから |
州ごとに応募できる職業
S190永住権は8つの州(うち2つは準州)ごとにビザ申請できる職業が違います。
州ごとの職業リストが作られていてSNOL(State Nominated Occupation List)と呼ばれており、そのリストに自分の職歴と関係のある職業があれば永住の可能性が出てくるわけです。
ちなみにそれぞれの州のSNOLは以下のリンクから確認できます。
- Australian Capital Territory
- New South Wales
- Northern Territory
- Queensland
- South Australia
- Tasmania
- Victoria
- Western Australia
ちなみに準州でもクリスマス島や「諸島」と付く準州ではS190は対象外となっています。
技術査定
州が募集しているお仕事の経験が永住権の第一条件なわけですが、職業経験は外部の査定会社で認めてもらいます。(スキルアセスメント)
技術査定には1,000ドル前後の費用が掛かってくるわけですが、パスするには次の要所を抑えておくことが重要。
- 学歴
- 資格
- 職歴
S190に対応している職業と関係のある学部や学科(コース)を卒業しているか。また学位においても同じ事が言えます。
さらに同じように資格や職歴についても審査されます。
そうして、職業として認めてもらえるとスキルセレクトに応募できるわけです。もちろん、ポイントは65点以上ないと意味がありませんが。
ちなみに、オーストラリアではすべての職業をANZSCOと呼ばれる英数字で管理されていて、会計士だと
Accountant (General) /221111
の右側の数字がANZSCOになります。
S190永住権の申請条件
その他、永住権の申請にはポイントのクリアだけでなくいくつか条件が設けられています。
年齢
45歳未満です。
スキルセレクトを行い、S190永住権の招待(インビテーション)があった日に44歳であれば、S190ビザ申請時に45歳を過ぎていても構いません。
タイムリミットは州からビザのオファーが合った日に44歳以下だったかどうかです。
もし、年齢制限でS190永住権の申請資格が無くなったとしても、まだ可能性はあります。
詳しくは「40代、とくに45歳からでもオーストラリアに永住できる6つの方法+1」を読んでくださいね。
英語力の証明
移民局はビザの申請に英語力の証明を求めています。オーストラリアは英語社会なので技術+最低限の英語力は持っておくのが当然というスタンス。
ビザの申請に必要な英語力はCompetent Englishと決められていてイギリス、アメリカ、カナダ、ニュージランド、アイルランド国籍を持っている人は証明の必要がありません。
日本国籍しか持っていない人は確実に下のいずれかの英語試験をパスしなければなりません。下のスコアは最低ラインです。
- IELTS
ジェネラル/アカデミックの各セクションで6.0 - TOEFL iBT
Listening が12 , Readingが13 , Writingが21 、Speakingが18 - Cambridge English
Advanced (CAE) の各セクション169 - Occupational English Test (OET)
各セクションにてLevel B - Pearson Test of English (PTE) Academic
各セクションで50
重大な疾患がない
政府が指定する医療機関で健康検査を行う必要があります。
費用は年齢にもよりますが、問診票で気になるところがなければ$300前後くらいで済みます。
関連記事:オーストラリアのビザに健康診断は必要?【永住権以外は必要なし】
大きな犯罪歴が無い
これは警察証明と読んでいますが、過去10年間に1年以上滞在したすべての国から取り寄せします。当然日本の警察証明も必要です。
オーストラリアから日本の警察証明は取り寄せるまでに2ヶ月位かかるので早め早めの行動を心がけましょう。
S190に家族を含められる
結婚している、またはデファクト状態のパートナーとそのお子様をS190永住権に含められます。
ただ、一度永住権が発行されてしまうとご家族を含められません。パートナービザなど別のビザが必要になります。
もし、ご家族を含める予定であれば予め移民局にその旨を伝えておくとビザの発行を待ってくれるかも知れません。
永住権の取り方
最後に、技術指名永住権(S190)をどうやって取るのかについて考えていきます。
永住権はこれを狙う!というような方法ではなく大きく、3つくらい候補を作ってください。
例えば、
- 技術独立永住権(S189)
- 技術指名永住権(S190)
- 雇用主指名永住権(S186)
などリストアップして、一番難しいタイプを目指しながら同時並行で2番目、3番目の永住権も狙います。
上の3つのビザはGSM(General Skilled Migration)と呼ばれる技術系移民の枠内で作られた永住権ですが、共通となるのが職業。
技術系だとどのお仕事で自分は永住権を狙うのか決めるのが一番重要です。永住権が取れない職業を狙っても意味がありませんからね・・。
その職業を狙うには、スキルアセスメントをパスする必要があるので、学歴からスタートするわけです。日本で大学に入るか、留学してオーストラリアの大学やTAFEで手に職を身につけるか。
後は、オーストラリアの会社に就職してS186を狙う、州からスポンサーを受けてS190を狙う、または誰のスポンサーにも頼らず自分ひとりだけで狙うS189など考えていけばいいでしょう。
この記事がS190永住権を狙う人に参考になれば幸いです。
オーストラリアに永住したいと思う人に幸運を。
ありがとうございました。