2018年に変わったオーストラリア永住権の内容とこれからの動き

こんにちは、うめ太郎です。

オーストラリアの2018年は永住権の法律が一段と厳しくなりました。

永住権を目指している方が一番被害を受けたのが2018年だったと思います。

ちょっと今さら感がありますが、今日は永住権からみの移民法が2017年から2018年にかけてどう変ったのかについて考えていきます。

ビザの変化を振り返るワケ

これからの永住権がどう変わるのかを知るには過去を知るのが一番です。

移民法というのはその時々のオーストラリア社会が色濃く反映されています。

あまり知られていませんが、移民法の変化には国民感情や経済の良し悪しなどが読み取れます。

これから2018年の永住権に関わる法律がどれだけ変ったのかを追っていきますが、それによって来年、つまり今年の流れも軽く予想できるようになります。

2018年に動いた永住権からみの法律

永住権のハードルが上がった

2017年の後半から2018年にかけて変ったのが、会社に永住権のスポンサーになってもらい申請するRSMSとENSビザの改正です。

これまでは永住権の申請に

  • IELTSスコア5
  • 2年間の労働
  • ビザ申請時の年齢が50歳未満

でしたが、それが

  • IELTSスコア6
  • 3年間の労働
  • ビザ申請時の年齢が45歳未満

に変わりました。

さらに、契約書で交わした年収が銀行口座に振り込まれているかについても確認がされるようになりました。

このあたりは、当時の首相がオーストラリア第一主義を掲げて、国内の市民や永住者に優先的に仕事が行くような思惑で法律が改正されています。

そんな流れになったのは、オーストラリアの景気が落ちたから。ちょっとしたことで移民法って変わります。

関連記事:RSMSビザとENSビザの違いは何か?地域によってわける

就労ビザがより厳しく

まずファーストフード系で就労ビザ申請ができなくなりました。

一時は500人近くの外国人労働者が裏技的な方法(Labour Agreement)を使ってファーストフード店で就労ビザを取っていましたが内、20名の不正が発覚したことがきっかけで除外されました。

さらに、就労ビザは永住権につながります。これも2018年の3月〜4月に廃止されました。

かわりにリリースされたのがS482と呼ばれる就労ビザで2年用のビザと4年用のビザに分かれました。

2年用の就労ビザは永住権への道がありません。

2年のビザになるのか、4年のビザになるのかはお仕事内容次第。

短期的な労働不足と判断された職業は永住権が申請できない2年のビザになるので、ダメージを受けた人もかなり多くいたと聞きました。

関連記事:オーストラリアで働くために必要な就労ビザの取り方教えます。【難易度は中】

職業リストが能力ベースから貢献ベースに

2018年までは能力ベースの職業リストが用意されていて、お仕事の経験やどれだけ高いレベルの技能をもっているかによってリストが作られていました。

2018年まで

  • SOL(技術系の職業)
  • CSOL(経済発展に関係する職業)

SOLはSkilled Occupation Listと呼ばれる頭の使う技術系の職業をリスト化したもの。CSOLはConsolidated Sponsored Occupation Listと呼ばれる経済発展を支える職業リスト。

それ以降は

  • MLTSSL(中長期の経済発展に関係する職業)
  • STSOL(短期の労働者不足を解消する職業)

に変わりました。

つまるところ、2018年までの職業リストは技術習熟度を図る能力ベースの職業と言っていいでしょう。

変更後は、どれだけオーストラリアに貢献できるのかを図る貢献ベースの職業リストとも言えます。

永住権につながる職業リストはMLTSSLだけ。しかも法改正後は職業はおよそ200個も削除されています。

関連記事:職業リスト - ビザ申請に関わるSTSOLとは?

関連記事:職業リスト - ビザ申請に関わるMLTSSLとは?

さらに、職業リストがこれまで1年に1回の更新だったものが、6ヶ月毎に見直しが入ることになりました。

これはつまり、永住権を目指している人にとってはとってもネガティブな影響をすることで、永住のために狙っている職業が消えるかもしれない頻度が高くなるんですね。

オーストラリア政府は景気後退に相当神経を尖らせていることがわかります。

パースがRSMSビザの対象外に

2018年のビックイベントだったのがパースが田舎から大都市への格上げ。

つまり、RSMSのビザがパースで申請できないことを意味しました。

これ、原因はパースの2018年総選挙で労働党が勝ってしまったから。3月ごろに総選挙がきまりその7カ月後に廃止が決まりました。

甚大な影響を受けたひとりがボクです。

さらにそれ以降はパースの景気もさらに悪化しました。というのはこれまで永住権が取りやすいRSMSビザを狙って西の最果てパースに移住してきた人たちがいたのですが、法改正によってパースにいる意味がなくなります。

どうせならと、アデレードやシドニー、メルボルンなどの都市に散り散りになっていきました。

その結果、

パースの留学生人口が減る→シェアハウスが赤字

となった感じです。ボクの知り合いのハウスオーナも7つ合ったシェアハウスが2つに減りました。採算が取れなくなったそうです。

ビザの審査スピードが遅くなる

永住権やテンポラリービザの審査スピードを上げるプライオリティ・リクエストがありましたが、2018年に廃止されました。

このリクエストは以下に該当する場合に限って移民局に連絡をいれることで審査の優先度が上げられるもの。

  • お仕事の締切が近い 
  • 人口の少ない田舎に会社がある
  • 就労ビザ中に転職する場合

これによって、10カ月かかる審査がわずか2カ月で終わることに。

永住権のハードルが高くなったわけではありませんが、移民局の意図としては審査期間を伸ばすことでプライベート保険の契約期間が長くなる、イコール経済に貢献といったところでしょう。

また移民人口を調節(減らす)することもできます。

あの手この手を使って景気の底入れをしていますね。

親呼び寄せビザは永住権がナシに

親呼び寄せというのは、母国から親をオーストラリアに移民させること。

世界には親がオーストラリアに永住したいがために子供に留学をさせて永住権を取らせている方もいるくらい親呼び寄せビザは人気です。

ご自身のお子様の半分以上が永住権を持っている場合に両親に対して永住権が与えられます。これの方法を使って親がオーストラリアに移住するために子供に留学させるケースもあるほど。

これが2018年の法改正によって5年と10年のテンポラリービザになりました。

日本人の場合はオーストラリアに戻る予定がない方がこのビザを使ってご両親を呼び寄せていましたが、2018年以降は不可能になっています。

関連記事:親の移住ビザ、最大で10年住めるSubclass 870

最後に、今後の見通しは△

ここ10年位のスパンで永住権の取りやすさを見ていくとかなり大きく変わりました。

2018年は過去10年の中で大きなターニングポイント。

これまでは仕事が見つかれは永住権が確実に取れるくらい簡単なモノでしたが法改正を見ていくと、今後はいかにオーストラリアに貢献できるのか?が問われる流れになっています。

言い換えると、オーストラリア経済のためにどれだけ貢献できるのか、どれだけオーストラリアにお金を使ったのか?そこが重要視される法改正になっていくのではと思います。

移民局は腹黒いですね・・。

最近では都市部の人口を減らす試みから人口の少ない田舎エリアに移民を促す政策を推し進めています。

その政策の中身を見ていくと必ずしも悪くなったわけでなく、逆に永住しやすい仕組みもあります。

ただそれも、5年、10年のスパンで見ていけばまた永住権が取りにくくなるのは確実。

今回は2018年の法改正を見ていきましたが、あなたの永住権への次の一手に参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

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