来年度からオーストラリアの移民受け入れ上限が19万人から16万人になります。この数は7月1日から6月31日までの受け入れ上限なので、もう間もなくリミット制限が始まることを意味します。
ただ、本当に移民受け入れ数を減らして良いのか?オーストラリアにとってプラスになるのか?と、ボクは疑問に思っています。
今日はそんな移民受け入れを減らすべきでない理由を考えていきます。
移民に頼りっぱなしの現実
きつい言い方かもしれませんが、オーストラリアがここまで発展してきたのは移民のちからを大きく利用したからです。利用したと言うより、「おんぶに抱っこ」と言うほうがピッタリとします。
オーストラリアの国民だけでは国内の経済を良くできません。怠けグセがあり、金曜日には仕事をしない国民性からして自国民の力だけで経済を押し上げるほどのポテンシャルがないのです。
だからこそ、海外から「教育+お仕事経験」を積んだ労働移民をオーストラリアの永住権というエサを使いたくさん移民させてきました。
そうして今のようなオーストラリアの繁栄があるのです。
ローリスク・ハイリターンな政策
国民に社会に貢献できる年齢や技能を身に着けさせるのは莫大なコストが掛かります。小学校から始まる義務教育を高校まで政府が支援するとなると1000万円以上のお金が掛かります。外部リンク: 義務教育にかかる費用
オーストラリアで永住を目指すならば大学卒業程度の学力と数年のお仕事経験が必要です。このケースでは技術系ビザで移民が目指せますがその場合のコストは国と個人と合わせて1500万程度だと考えています。
さらに、義務教育を与えたとしても全員が未来ある大人になるわけではありません。中には犯罪に手をそめる人もでてきたり、非常にローレベルな仕事に関わる人もいます。
オーストラリア政府としてはそういったドブに捨てたような膨大なお金も見えない部分ではコストとしてかけているのです。
つまるところ、初めから「出来上がった」それなりに優秀な労働者を海外から集めてくるほうが無駄なお金をかけずに国内の景気を活性化できます。
まさにローリスク・ハイリターンな移民政策なわけです。
移民の受け入れ上限を減らすということは、国の経済発展に貢献できる人が減るということです。
永住権を取るまでに掛かるコスト
オーストラリアに永住する方法はたくさんあり、永住権を取得するまでにかける費用はけっして安くはありません。
永住権を手に入れるまでに使う学費や生活費はオーストラリアの経済を支え、税収入にも貢献しているのです。
その膨大なコストは安い場合でもAUD $10,000は掛かります。ゼロから移住を目指す方は語学学校や大学に通うことになるので、AUD $50,000 ~ $70,000は掛かるでしょう。
それだけのお金がオーストラリアに住んでいる別の誰かの給料の一部になるのです。
ボクが永住権を取るまでに費やしたお金は
- 語学学校
- 英語能力の証明に掛かる費用
- ビジネスビザの費用
- 永住ビザの費用
- エージェント代行費用
を合わせてAUD 35,000ほど掛かりました。それにプラス生活費やビザの条件になっている任意保険も合わせると膨大なお金をオーストラリア様に貢いでいるわけです。
とはなりませんが、中にはオーストラリアで永住を目指すのを諦めて移住しやすいカナダやボクもオススメできるニュージランドに移民希望者を向けることになるでしょう。
結果的にオーストラリアの消費が減ります。
200万人規模の定年退職
上の図はオーストラリアの人口を年齢層別にピラミッドで表したものです。これから5年以内に定年退職する年齢層 (55歳〜59歳)の人数はおおよそ160万人弱います。
この数は毎年30万人以上の労働者が消えていくことになるのでどこかから補充しなければなりません。そのベストな受け皿になるのが移民です。しかし受入の人数を3万に減らすことは33万人分の労働者不足を潜在的に抱えているわけです。
オーストラリア人で足りるのか疑問ですね。
移民の受け入れ数を下げると、労働者が不足し、需要と供給のバランスから人件費 (給料が)が上る事になり、イマイチな経済の状態で人件費だけが上がるのは良いサインではありません。 外部リンク: There Should Be High Australia Immigration Targets For 2019
悪いことは移民のせい
移民受け入れ数を下げる理由となっているのは都市部の人口が増えることによって引き起こされる渋滞や学校・医療への待ち時間が長いといった事がリストに上がっていますが、それって移民のせいなのか?と思う。
都市の人口を増やしている原因のひとつに移民が関係していることは確か。ただ圧倒的大多数を占めているのはオーストラリア人です。
ボクの住むパースでは移民の数が多数派ですがシドニーやメルボルンなどはまだまだ少数派です。
ボク、うめ太郎にとっては、「これまで国を豊かにするために移民を散々使っておいて問題が起きれば移民のせいにするのか」と感じてしまってなりません。
移民受け入れ数はキープするべき
オーストラリア人の国民性をみても怠けグセとホリデー大好き人生であまり働かないことを美徳とする人たちが大多数を占める社会では、彼らだけの力で経済を大きくするのは難しいと思います。
自分たちが怠けても十分な福祉を与えられるだけの予算を移民から搾り取っている状況の中で移民を減らすことは単純にオーストラリアの経済成長を止めることになるのだと思います。
だからこそ、移民受け入れ人数はこれまで通りの19万人にするべきだと思うし、これからも移民の力を使ってオーストラリアを豊かにできるような政策をしていくほうがプラスになるのではと思います。
さぁ、移民受け入れ数を減らすと決めたオーストラリアの将来が楽しみです。そしてその移民の受け入れ先となる地方の景気にも注目していきたいと思います。
オーストラリアに移住したい人に幸運を。
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