技術移民ってなんですか?という質問は特に頂きませんが、説明すると技術をベースに移住した人たちの事を総称して技術移民と呼びます。
こんにちは、うめ太郎です!
オーストラリア移住を成功させた人たちの半数以上は、技術移民と呼ばれる人たち。っと言っても超一流のスキルを持っている必要はない。
技術移民=仕事ができる人たち
と説明すれば、わかりやすいでしょうか。
あなたは仕事がありますか?職歴はどれくらい?
それなりに、日本でのお仕事経験があればあなたはもう立派な技術移民の候補ですよ。
技術移民と呼ばれている人たちは、お仕事経験ありきでビザをとった人たちをまとめている「Word」みたいなもの。
彼らは、お仕事関係のビザを持ってオーストラリアに滞在しています。または夢の永住をしている人たち!
お仕事ありきで申請するタイプのビザを技術系ビザと呼んでいます。ボクは「技術移民系のビザ」と勝手に呼んでいますが、こういったビザは一つだけではなく、たくさんの種類があります。
技術系のビザは10個ほど
オーストラリアに滞在できるビザはおおよそ70個ほどあります。言ってしまえば、移住する為に70通りの選択肢があるわけですが、技術移民系のビザはその中でも10個ほど。
そして、このビザを申請して移民(移住)できるよな制度を、Skilled Migration Programと移民局では呼んでいます。
頭文字をとって、
と呼びます。覚えておいてくださいね?
冗談抜きで、オーストラリアに移住することを考えた時に、どういったビザがあるのか、どのようなビザが向いているのかを知った上で行動するのは成功する上では死活問題です。
また、ゼロからオーストラリア移住を目指すなら、この技術移民系のビザを狙うのはかなり現実的な移住の方法だと思います。
オーストラリアにとって技術移民はオイシイ存在
なぜらなら、技術移民はオーストラリアにとって、とってもオイシイ存在だからなんですね。
オーストラリア政府の立場からすると技術移民を受け入れるということは、ローリスク・ハイリターンな投資なわけですよ。というのは、経済的に貢献してくれる(可能性の高い)人に対してしか申請ができない制度になっているからです。
就労ビザも、その技術移民の枠内に入っています。就労ビザでもいくつか種類がありますが、
就労ビザ|S482(旧 S457)
はオーストラリアで不足している職業、または中・長期的に経済を発展させる上で重要なファクターである職業の職能を持っているかどうかで申請できるビザです。
もちろん、就労ビザなので、ビザをサポートしてくれる雇用主(スポンサー)が必要でそのスポンサーを見つけるのがちょっと大変だけど、バイトから初めて信頼関係を築ければ難易度が高い話じゃない。
ま、そのあたりの細かな説明は「オーストラリアで働くために必要な就労ビザの取り方教えます。」の記事に任せておくとして、オーストラリアからすると、すでに教育を受けたあなたが就職先を見つけたからビザを与えるようなもの。
つまり、義務教育などの教育費が掛からない、すでにそれなりに能力のある人が働き、しかもおそらく真面目に税金を収めるので、国からするとローリスク・ハイリターンな存在なわけです。
そして、そこで数年働くことができれば、
雇用主指名永住権|S186
と呼ばれるオーストラリアにずっと住めるビザが手に入るのですね。もちろんこれもお仕事を通して申請するビザなので、見事、パスした人は技術移民となれる感じです。
このS186ビザは、前出の就労ビザを持ちながら3年働くことで申請ができるビザですが、申請する時に、雇う側の雇用主にも数千ドルのコストを要求することになるのであまりアタリがよくない。
関連記事は下の通り。
ただ、だからといって、この永住権をサポートしてくれる会社を見つけられないのか?と問えば全くそんなことはなく、中小企業であれば十分に狙える。
それでもダメなら、地方で働き口を探すという手もある。この場合は、雇用主に負担をお願いする費用はないので、会社側もビザの「OK」を出しやすい。
地方にも同じ様なビザがあり、
技術雇用主地方ビザ|S494
が、先のS482(就労ビザ)の田舎バージョンというわけです。
この地方ビザ(田舎)のバックグラウンド的な所を話しておくと、ここ数年で、技術系のビザは人口の少ない地方や州を発展させるために法改正がされています。
法改正の当初は、「オーストラリアも先進国の仲間入りをし、国民も豊かになった中での景気後退から移民への反発かな」と考えていましたが、どうやらそういうわけでもなく、大都市に技術移民を中心とした人口移動が起きたために生活が不便になったことが原因。
その他にも、都市部の発展余地よりも、地方の発展余地のほうが大きいので、移民を地方に向くように法改正をしていると考えています。
このS494ビザを使って短期の技術移民になり、その後に、永住権の申請も、もちろんできます。
それが、
技術地方永住権|S191
と呼ばれる永住権。ところで、RSMSと呼ばれる永住権をご存知ですか?このビザも地方向け(田舎向け)の永住権ですが、そのビザがこのビザに置き換わる形で廃止されました。
前のビザ、地方雇用主指名ビザ(RSMS)は別名、S187とも呼ばれていますが、先に説明したS186の地方版です。直接永住権を申請することも可能だったので人気のビザだったのですが、新設された、技術地方永住権(S191)ビザでは直接このビザを申請することはできなくなりました。その代わりに生まれたのが
- 技術雇用主指名地方ビザ|S494
と呼ばれているビザで、これが実質、RSMSの後継バージョンになっています。
詳しくは、「RSMSビザが廃止され、全く新しい地方向け永住権がリリースされます」を読んでみてください。
また、先程、会社がビザのサポートをするという話をしましたが、同じような考えで州政府がスポンサーになり数年住めるビザを手に入れる方法もあります。
- 技術就労地方ビザ|S491
このビザはS489(技術地方ビザ)と呼ばれているビザが前身となっています。S494と同じ様に、人口の少ない地域に住むことを条件に州政府がスポンサーになります。スポンサーといっても後で説明するポイント制のビザで、自分の能力を数値化して一定上の点数になればビザが自動で招待されるというモノ。
もし、そのエリアに親族が住んでいる場合は、その親族がスポンサーとなりビザをサポートしてあげることも出来ます。
この技術地方永住権(S191)は必ず、S494のビザもしくは、S491のビザを申請してから、最低3年は働き、申請することが求められます。
学校を卒業することで技術移民?
オーストラリアには専門学校、大学、大学院を卒業することで卒業ビザと呼ばれるビザを申請することができます。このビザでは18ヶ月から最大で6年間もの長期に渡ってオーストラリアに移住することができるもの。
このビザも技術移民としてのカテゴリに入っています。
なぜ、卒業ビザが技術移民の枠組みなのかと言うと、これまで学んできた事は仕事と直結しているからです。オーストラリアは資格・ライセンス社会。自分が何の職業の知識があるのかをわざわざ他の場所で認定して貰う必要があります。
学校で学んだ事とどれほど密接に関係しており、履修した内容がどの職業と直結しているのかを審査してもらい、これを技術査定と呼びますが、卒業ビザはこのプロによる査定を通して申請する経緯上、技術移民と呼ぶことができるのでしょう。
卒業ビザ|S485
記事の初めに、ゼロから移住を目指すことについて触れましたが、学校に通うことは、卒業ビザ目的なんですね。
卒業ビザを使ってお仕事経験を積み、就労ビザのスポンサーを探して就労する。そして数年後に永住権を申請するというスタイルが人気というか現実的な方法です。
それ以外にも難易度は高いですが、技術移民の上級としてポイント制のビザがあります。
技術移民の最高峰?
なんじゃそれ?って思うかもしれませんが、自分の年齢や学歴、英語力などを点数化して一定以上になれば永住権の申請チャンスが生まれるというもので理屈は簡単。先に説明したS491がそれにあたりますね。
ポイント制のビザと聞いたことはありますか?この手のビザはスポンサーが必要なく、さらにダイレクトに永住権の申請ができるので、就労ビザを経由するタイプの移住と比べてかなり時間的に短縮ができることと、移民法改正の影響を受けにくいと言ったメリットがあります。
ただし!その分、ハードルは高くなっています。
その最高峰とも言えるビザが
技術独立ビザ|S189
と呼ばれる永住権。先の説明と重なりますが、自分の年齢や職歴などをポイント換算して65点以上になれば永住権のチャンスが生まれます。
ただ、注意してほしいことは、65点になれば永住権を必ず得られるというわけではない所。ここを誤解している人が多い。まぁ移民局の説明でも最低65点あるという記述があるので誤解を受けやすいのも最もだけれども、この65点という基準は、永住権が欲しいという立候補ができるというだけ。
もう一度いいますよ?65点は可能性が生まれるだけの話。
詳しくは、「ポイント制の永住権を徹底解説!計算方法も!」を読んでほしいのですが、ポイント制永住権の流れとしては
- 永住権が欲しい事を立候補
- 移民局から招待メールが送られる
- 永住権を申請
の3つを経てやっと永住権が手に入れられるのです。
この最低65点のポイントというのは、登竜門である「永住権が欲しいことを立候補」する事だけ。この立候補する場所をExpression of Interestと呼ばれるシステムに登録しますが、実際に永住権の招待メールが来るのは、ポイントの上位から順番に送られるので65点だと常にリストの下のほうなので永遠に招待メールが来ないわけなんです。
だから、少しでもポイントを上げておく必要があるのですが、その方法として州政府スポンサーの永住権を狙うやり方がある。
技術指名ビザ|S190
この技術指定ビザは州政府からのスポンサーありきで申請する永住権です。もちろん技術移民用のビザ。先に説明した技術独立ビザと同じポイント制のビザですが州政府からスポンサーを得る事で10ポイントが加算されるのが特徴。
これでポイントを上乗せすることで永住権をリアルに狙えるようになるわけです。
技術移民のトレンドは下げ
オーストラリアに移民するというのは、ビザの申請条件だけ満たせば直ぐにビザが発行されるわけではない。
年間を通して移民の受け入れ数を決めており、2020年-2021年の移民受け入れ計画を見ていくと、ここで紹介した技術移民用のビザ発行数は大幅に少なくなっています。
おおよそ50%ダウンですね。これが何を意味するのかと言うと、オーストラリアにとって技術移民はこれまでより重要でなくなっているということ。
この移民の受け入れ上限は毎年7月に年間の受け入れ上限に合わせる形でスタートします。ビザの発行数が計画数通りに発行されると、次の年度(翌年の7月1日)までビザは発行されないので待ち時間が長くなります。また、移民局はこれまでに申請の順番通りに審査をしているわけではないと公言していたので、極端な話、ビザの発行まで何年も待たされることもある。
技術系のビザでも移民の受け入れ数が上がったのは投資やハイスペック用のビザ。明らかに新型コロナウィルスでダメージを受けた経済のリカバリーに国際的に活躍できるようなレベルの人材の力を借りたいという思惑がわかる。
こうした中、技術移民を目指したいが学歴も職歴もお金もない人はどうしたらいいのか?
トレーニングビザ:S407
そうした方々は、トレーニングビザを使ってとりあえず職歴を積むこともできます。このトレーニングビザは最大でも6ヶ月間の間だけしかお仕事できませんが、ビザ申請の条件は他と比べて圧倒的に低い。
あまり高い技術は求められていないので、とりあえずのつかみとしてトレーニングビザから始めるのも手だと思います。
このトレーニングビザは技術移民のカテゴリではないですが、あくまでそこに到達するための踏み台という考えを持ってください。インターネットの普及によってビザの情報も手に入りやすくなりました。
色々とこれからオーストラリア移住を目指す人にとっては多すぎるくらいの情報量を出しましたが、何となく掴めるようになるまで何回もこの記事を読んでみてください。
技術移民のトレンドはスポンサーを探す事と言っても過言ではありません。英語力ナシ、職歴ナシの人たちにとって一番現実的な技術移民での移住の方法は職業を決め、学び、就職先を見つけていくことですね。
オーストラリアに移住したいと思うすべての人に幸運を。
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