オーストラリアのビザは年間で発行数が決められています。ビザの年間割り当てとでもいえますが、上限を超えると発行されません。
それはそうですよね。もし、ビザを無限に発行し続けると移民が急激に増えすぎて困ります。
では、実際、永住権ってどれくらい発行されるのか?
今回は、オーストラリアの移民受け入れ上限とその必要性について知ることでちょっと移住に詳しくなります。
移民の受け入れの上限
オーストラリアは移民の受け入れ数(ビザ発行数)に上限を設定しています。急激に移民が増えることを避けていることと、おそらく移民と国民の比率をある程度調節する目的もあるあと思っています。
現在のところ、人口の4割が移民(永住権保持者)です。移民の受け入れ上限はオーストラリア国民と移民の割合をコントロールしながら経済発展を成し遂げるための微妙なバランサー的な役割と考えていいでしょう。
この上限はオーストラリアの会計年度が切り替わる7月に見直されています。
ちなみに、正式な名前はMigration Program Planningです。永住権やその家族のビザの発行数に上限を設けています。
2019年度の移民計画
2019年の移民受け入れ人数は16万人です。これまでは19万人の移民上限を設けていましたが、2018年以降は3万人少なく設定されています。
ただし、政府の理由としては19万人の移民受け入れの時から実質ビザが発行されていたのは16万人強なのであまり変化はないということ。
直ちに、私たちの永住計画に影響があるわけではありません。
この上限はビザの種類によって細かく上限数が設定されています。たとえば、
- 雇用主指名永住権:30,000人
- 技術独立永住権:16,652人
などなど。詳細は本家移民局のページに載っています。
移民受け入れは将来的に減る?
The Migration program is designed to achieve a range of economic and social outcomes
とあるように、移民の受け入れ数は経済と社会への影響を考慮して決められています。
ただ、前述したように、移民局は移民受け入れ上限を19万から16万に減らしました。この流れは、2015年以降に起きた急激な景気の悪化が反映されています。
政府の言い訳として移民受け入れ計画の数を実質受け入れてきた数に近くするようとのことですが、計画の数が減れば実質の受け入れ数も減ると思われます。
というのは、移民受け入れというのは一気にビザを発行しているわけではなくて、1年を通してまんべんなくビザが発行されるように月単位で分配しています。
だからこそ、永住権の発行が月末月初に固まる傾向があるのですが、移民局でも能力ある移民が固まった時期に受け入れられるようにある程度余裕をもって毎月受け入れています。
1か月単位での受入数は
受け入れ計画の数÷12か月
より少なくなるはず。
年間を通して実際の受け入れ計画の数より少なくなるのではと考えています。
移民受け入れのトレンドは地方
ここ最近、移民に関するニュースに目を通していくと、人口が増えすぎたことによるもろもろな問題に政府は神経をとがらせている感じだということ。
人口が爆発的に増えた結果、都市部では渋滞が増え、病院の待ち時間が長くなり生活し難い環境に変わりました。
オーストラリア連邦政府はその解決策として人手が必要な田舎に移民が流れるような仕組みを作っています。
2019年に大きな変更があった地方ビザがその一つですよね。
そういう意味で、移民上限の内訳が地方よりになると考えます。
例えば、地方で発行するビザの上限を増やし、都市部での永住権の割り当てを少なくするなど。
結果的に移民は減るかも
田舎に住みたい移民はどれくらいいるか?と考えると、多くはないと思います。
もちろん永住権のためなら田舎に住みたいと思う人はたくさんいます。ただ、現実問題として仕事が見つからない。
働けない環境では永住権は取りにくい制度なのがオーストラリアの移民法でもあるのでいくら田舎の永住権割り当て数が多いとしてもそれほど魅力に感じないわけです。
裏を返せば、田舎に住む人が増えないのに割り当て数だけ多くなるので永住権の発行数は減るわけです。
長期的には移民の受入数は計画の数とは関係なしに減ると予想しています。
19年度の移民受入数を抜粋!
それでは、移民の受け入れ計画にある16万人の割り当てについて紹介します!
この情報で重要なのはそれぞれの割合。人数が多ければ多いほどオーストラリア政府が力を入れているエリアだと考えられるので移民法改正の頻度も多くなると思われるからです。
技術系移民
いわゆる、仕事力で申請する永住権のことです。技術系というのは仕事のことですね。
たとえば、
- ポイント制の永住権
- 雇用主指名の永住権(S186)
- 地方向け雇用主指名
- 永住権(187)
などのことです。
この技術系移民の数は一番割り当て数が多いです。
その数なんと、108,682人!
受け入れ上限の6割が技術系移民のために用意されています。
家族系移民
家族に関する永住権。パートナービザや親引き寄せビザがそれにあたります。
その中でもパートナービザの受入数がトップ。1年間に39,799人が受け入れ予定となっています。
次に多いのは親族です。親を引き寄せるためのペアレントビザが一般的ですね。
家族系移民は47,732人が受け入れ上限になっています。
受け入れ全体の3割程度が家族系ビザの受け入れ上限になっていますね。
特別枠
特別枠のビザというのは、ちょっと特殊な状況にある方を救うためのビザです。例えばオーストラリア永住権を持っている人が長く国外で過ごしてしまうと永住権の更新が不可能になってしまいます。
このカテゴリは主にそういった人たちを救済するための受け入れ上限数のようです。
上限は236人と少なめです。
それ以外でも子供を守るために割り当てられているものがあり、そのビザ割り当ては「その他」として分類されています。
3,350人が上限として設けられていますが、公式には上限がないことになっています。
受け入れのトレンド=移民法改正
移民の受け入れ計画を見ることで、オーストラリア政府が重要視している永住権の分野を知ることができます。
知って何になるの?と思うかもしれませんが意外と重要な情報です。なぜなら、その分野が移民法改正のリスクを受けやすいからです。
移民法改正の影響を受けやすいということですね。
また、前年度と比べて移民受け入れの数が減っている場合は、ビザの審査期間が長くなっているかもしれないと予想することもできる。
ほんのちょっとした情報でオーストラリアに移住するためのヒントが隠されていることがお分かりいただけたでしょうか。
この記事がこれからオーストラリアで永住権を目指す人の参考になればと思います。
オーストラリアに永住したいと思うすべての人に幸運を。
ありがとうございました。