オーストラリアで4年働きながら住める就労ビザがあります。それがS457ビザ。このビザを経由すれば2年後には永住権の申請も可能に。
注意!457ビザは2018年4月18日から全く新しいTSSビザ(S482)に代わり今はS457は申請できません。
これから新しく就労ビザを目指すのであればTSSビザページを読んでくださいね。
ただ、オーストラリア永住を考えた時にS457ビザの情報は履歴を知る上で未だに有益なので情報を整理して提供します。
S457(就労ビザ)とは
就労ビザやビジネスビザとも呼ばれています。移民局ではTemporary Work Skilled visa(S457)が正式名称みたいですね。
このビザはオーストラリアに働きながら4年間住めるビザです。
申請にはビザをサポートしてくれる会社に就職することが必要。この就職が難しいのでS457(就労ビザ)は申請のハードルがそれなりに高いと言われる理由ですね。
S457は2年間同じ会社で働くことで永住権の申請が可能です。
ちなみにボクもこのビザを経由して雇用主指名永住権(S186)を申請しました。
S457ビザは新しく申請できませんが、すでにお持ちの方は永住権への道が残されています。
ビザの申請には自分のお仕事経験が職業リストに載っている必要があります。これは技術査定と呼ばれる審査を通して証明します。
S457ビザ発行までの流れ
S457ビザは発行までに次の3つの段階があります
- スポンサーシップ
- ノミネーション
- ビザ本申請
ビザを申請する人(ボクタチ)が直接関わるところは最後のビザ本申請です。
スポンサーシップ
この審査は会社が合法的に経営されていたか、実際に利益があるのか。などS457ビザのスポンサーになる会社がオーストラリアの法律を守りながら経営していたかどうかを審査します。
スポンサーシップは会社が過去にS457ビザの申請を経験したことがあるならすでに許可されているかも知れません。
その際はスポンサーシップの申請をスキップできます。
申請書類は会社の登記情報や納税証明書なども含まれます。
このプロセスは1カ月程度で判断が下ります。
ノミネーション
ノミネーションではわざわざ外国人を雇わなければならない正当な理由があるかどうかをチェックします。
チェックされるポイントは会社の業務とビザの申請者が妥当であるか。どれほど会社のコアビジネスに関わっているのかどうかです。
会社の組織図やビザ申請者の役割などの提出が求められます。
また、ANZSCOと呼ばれる職業コードでビザ申請者をノミネートします。
このプロセスも1カ月~3カ月程度でおわります。
ビザ本申請
上2つの審査が無事に終われば、S457ビザ申請をします。
いわゆるオーストラリアで就労できるだけのスキルや善良な市民だったかどうかのチェックが入るわけです。
また技術系ビザなので技術査定の内容もオーストラリアで不足している職業かどうかをチェックされます。
この段階は5カ月~10カ月で終わります。
つまりビザの発行まで最長で1年ほど待つ可能性があるわけです。
そうすると、ボクのようにワーホリビザで働いている人は6カ月こ余裕で越えてしまうことに。そんなケースのためにある申請をすれば引き続き働けます。
ワーホリからS457に切り替える際の注意
ワーホリビザからS457ビザの申請が可能です。
ただ、ワーキングホリデービザでは6カ月間しか働けないのでPermission To Workを申請することで6カ月以上働けるようになります。
S457の申請条件を詳しく
ここではS457ビザの申請に必要な主だった条件を書いていきます。この他、移民局が別途要求してくる場合もあります。
職業
会社でノミネートされる役割(ポジション)を遂行できるだけのお仕事経験があるかどうかを証明します。
この証明には会社からノミネートされたANZSCOコードと深く関わり合いがある職務経歴書の提出が必要です。
現在は廃止されていますが、S457ビザが有効だった時はCSOLやSOLなどオーストラリアで不足している職業に限定されていました。
現在はSTSOLやMLTSSLに置き換わっています。また技術査定が必要になりました。
詳しくは「2018年に変わったオーストラリア永住権の内容とこれからの動き」で説明しています。
英語力の証明
IELTS相当で各コンポーネントが4.5必要です。またOverallスコアは5必要です。
英語力の証明は5つテストから選べるので自分にとって点数を稼ぎやすい英語試験を選びましょう。
警察証明
犯罪歴があるかどうかのチェックが入ります。
過去10年間に滞在したすべての国から証明書を取得します。取得までに時間がかかるので早めの対応を心がけてください。
日本の警察証明書を得るには各都道府県の警察署に連絡してください。
オーストラリアの警察証明書はAFP(Australian Federal Police)で申請すると住所に書類が送られてきます。
次のページ > 【オーストラリア】警察証明はビザ発行を左右するくらい重要な件
オーストラリアの価値観
ビザを申請する際にはオーストラリアの価値観についての同意が求められます。これはAustralian Valuesと呼ばれています。
こちらの記事では移民局で公開されているオーストラリアの価値観の日本語訳を用意しました。
子供を含める
S457(ビジネスビザ)でも他のビザと同じようにご家族を含められます。
また申請中に子供が生まれた場合もビザが発行される前なら追加できます。
S457ビザ申請で提出した書類
移民局で提出する書類は英語で翻訳します。
NATTIの資格保持者に翻訳を依頼するか、証明書の発行元に英語訳のものをもらってください。
ボクは英語で翻訳された証明書や資格を発行元の大学や行政から頂きました。
S457の基本的な書類
パスポートやIELTSのスコアが分かる書類を提出します。IELTSを日本で受けた場合は英語で書かれた証明書を提出します。
オンラインでIELTSの結果を確認したものを画面キャプチャーしてそれを送ることも可能です。ボクは手間の関係で画面キャプチャーを送りました。
またS457は任意保険の加入が義務付けられています。契約書を移民局に提出します。
資格証明書
職業に関係するオーストラリアや日本で取得した資格を提出します。ボクの場合は応用情報技術者試験の資格を英語訳のものを発行してもらい提出しました。
卒業証書
最終学歴がわかる卒業証書を英語訳で提出します。ボクは大学に2年次編入したので専門学校の卒業証書と大学の卒業証書それぞれ提出しました。専門学校と大学に問い合わせると英語訳の証書が発行できたのでそれを提出。
職務経歴書
ボクはノミネートされた職業で9年の経験があります。日本で転職した会社一つひとつに連絡をして自分で用意した職務経歴書の英語訳にサインをしていただき、それを提出しました。
次のページ > ビザ申請のノミネーションとは?オーストラリアに移住するために
移住へアドバイス
S457は就労ビザ(ビジネスビザ)の中で最も人気があるビザの一つ。申請条件が他の永住権やポイント制のテンポラリービザと比べて低いのが大きな理由です。
ボクがS457ビザを選ぶ一番のおススメは2年働くことで永住権への道も開かれているからですが、現在はビザが廃止されて申請できません。
代わりに2018年4月に登場したのがTemporary Skill Shortageビザ(TSS)です。TSSビザはS457ビザと同じ目的を持っています。
さらに、TSSビザでもS457ビザと同じように永住権への道があります!
オーストラリア移住はまだまだ狙えるレベルなので挑戦するのもいいでしょう。
今回はS457の情報について申請条件や必要な書類、そして法改正があった関係するビザについて書いていきました。
ありがとうございました。