こんにちは、うめ太郎です。
オーストラリアは移民政策で人口が増え続けているのでいろいろと問題がでてきております。
これまで景気が良かったこともあり肯定的に見られていた移民ですが、停滞気味になり移民のデメリットの部分にフォーカスされるようになってきました。
具体的には都市開発が人口増に追いついていないので病院の待ち時間や渋滞が長くなっているようです。
その流れを受けてかオーストラリア政府も移民政策として移民問題の対処を迫られている感じ。
欧州の移民問題は難民とその犯罪に関わるものですが、オーストラリアは物理的な問題のようですね。
今回はオーストラリアの移民問題と政府がどのように対応していくのかについて考えていくことで今後オーストラリアに永住を考えている人の参考になればと思います。
オーストラリアの移民問題は人口増
年ごとのオーストラリアに移住した人数 |
上の図は1972年から2018年の間にオーストラリアに移民した人数です。1992年以降から移民人口が増えているのがわかります。
2002年から2018年までのおよそ15年で人口は2倍に増えましたね。
さらに同じように永住権の発行数は過去15年で2倍増えています。2000年まではオーストラリアへの移民者数はゆるやかに横ばいだったのが15年間の間に2倍になったのです。
上の図の青色の線が実際の永住ビザの申請者数を表していて、オレンジがその家族の数になります。2000年を境に急激に移民数が増えていることがわかります。
オーストラリアの人口は3倍になった
オーストラリアの人口は1950年から2000年までは横ばいでしたが、移民が増える事によってオーストラリア全体の人口も急激に上がり始めます。
これだけ人口が急激に増加すると下水道や通信、学校の建設が間に合わないのは確実で、学校に至っては1クラスの人数が増えているので教育の学習効率も悪くなるのではと思います。
移民が増えたことによる問題
人口が増えると、家がいる。住宅の価格が上がり、大都市に人混みが増え、交通渋滞が発生するところですね。
オーストラリア・ナショナル・大学が「移民による人口の拡大に賛成」かどうかの質問を2000人以上に聞き取り調査をして分かったようです。
結果は前回の聞き取り調査と比べて、移民にネガティブな意見が大半に変わったということです。
オーストラリア人の30.4%が
- 「人口をもっと増やす必要がある」
と考えていて、残りの69.9%は
- 「移民による人口増は良くない」
と回答しました。
具体的な移民政策に結びついてくる、その理由はどうなのか。
アンケートに回答した人たちが考える移民問題
なぜ移民による人口増を嫌っているのか。大学の聞き取り調査では
- 住宅価格がさらに高くなる
- 人混みが増える
- 交通渋滞
- 移民に仕事が奪われる
が主な意見だそうです。
ちなみに、シドニーやメルボルンでは平均住宅価格が1億だそう。物価も高いので給料もそれなりに高いと思いきや、ニューサウスウェールズ州の平均給料は$74,000ドル。それほど高くありません。
一般の人は家を買えないわけです。
大都市の生活環境予想は悪い
シドニー、ブリスベンやメルボルンなど大都市では人口増加による弊害、家計に占める家賃の割合や渋滞、都市のインフラ増強がこれ以上移民を受け入れ続けるのは難しいことも数字で分かっています。
楽観的に捉えた2046年の生活環境予想はどれも悪化です。
メルボルンの生活環境は
2046年には生活環境が激悪ーメルボルン |
全体的に1%〜10%程度悪くなるみたい。
- 交通渋滞:5%→6%(1%増)
- 車で通勤時間30分以内の車の数:22%→18%(4%減)
- 車で通勤時間60分以内の車の数:64%→54%(10%減)
- 医療へのアクセス:87%→82%(5%減)
- 学校へのアクセス:95%→90%(5%減)
- 公園の数:38%→33%(5%減)
シドニーの生活環境は
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こちらも全体的に2%〜8%も悪くなる。
- 交通渋滞:15%→28%(8%増)
- 車で通勤時間30分以内の車の数:13%→9%(4%減)
- 車で通勤時間60分以内の車の数:43%→36%(7%減)
- 医療へのアクセス:80%→76%(4%減)
- 学校へのアクセス:97%→95%(2%減)
- 公園の数:62%→58%(4%減)
これ、楽観視してですよ。おそらく現実はもっと厳しい(悪い)と思うのでこのまま行けば超住みにくい都市に選ばれそう。
旅行者を減らせという意見も
別の記事では移民問題より旅行者の増加が問題だ!と主張する人もいます。
旅行者は1997年から2015年の18年間の間におおよそ2倍弱増えました。(800万人弱)
観光客は犯罪率が高く、自然も壊す。さらに移動が多いので交通渋滞も起こる。
と主張しているわけですが、この意見には反論も出ています。そもそも旅行者は学校や医療施設をほとんど使わないので論理が破綻しているとのこと。
ボクも同意見で旅行客が増えると確かに交通機関が使われますが、朝と夜の通勤ラッシュに全員が重なるわけでは無いと思います。しかも滞在期間は短期で季節によっては閑散しているシーズンもある。
ビジタービザやワーキングホリデービザで1年以上移住するような人たちが原因だというならばまだ納得できますが、そうではない。
論理的に矛盾していますね。
さらに、移民の場合は数年以上の定住者になるので結婚や子供を作ることもあり得る。
そう考える学校や医療、交通機関のアクセスが徐々に悪くなるのは永人口を積み重ねるように増えていく住者や長期の移民が原因だと考えるべきでしょう。
移民の反対派が増えた
移民問題のおかげで、移民は減らすべき!だとする人が9年で1.6倍に増えました。
2010年の同じ調査では45.8%の方が移民に賛成していたので今はおよそ70%くらいが反対しているようですね。
ただ、面白いことに移民反対派の人たちには偏りがあって、
年齢が高いほど移民に反対している人が多く、女性は男性より15%も多く移民に反対しているようです。
年齢層では25歳から34歳のオーストラリア人ではまだ半数近くの42.2%の方が移民に肯定的な印象と思っており、9年前とほとんど変わらないようです。
学歴が高い人、海外で産まれた人は圧倒的大多数が移民によって人口が増えることは良いことだと考えているようです。
これは移民と関わる機会と関係がある考えています。
仕事や学校で移民、留学生と知り合う機会がある人は移民に肯定的な考えを持っていると思いますし、逆に移民と関わり合いの少ない人達というのは移民のことを知らないのでデメリットだけしか見えていない。
そのあたりが調査結果に反映しているのかなと思いますね。
移民問題の解決は地方がキー
政府閣僚のサイモン・バーミンハムによるとスコット・マリソン首相は人口の少ない地方エリアが移民の受け皿になるように移民政策をすると明言しています。
移民政策だけでなく人口政策を地方中心に変えていくと予想できます。
それによって地方都市の開発が促され、結果的には今大都市で抱えている移民問題も解決に導けると考えているよう。
それを裏付けるように2018年ごろからセミスキルビザ(DAMA)がリリースされました。このビザは地方でとっても取りやすい就労ビザで大都市で就労ビザや永住権が狙えない人も地方で狙えるような仕組みになっています。
これによって地方の経済やコミュニティーが強化され、中・長期的に発展していくことを期待しているよう。
移民問題は移民政策で解決するスタンスを取っているところがいかにもオーストラリア人らしいですね。
将来的に大都市での生活は悪くなります。さらに永住権も狙いにくくなる。
そう考えるとこれからの移住方法は人口の少ない都市で目指すのが王道だとおもいますね。
今回は移民問題の原因とその解決方法について書いていきました。この記事がこれからオーストラリアで永住権を目指す人に助けになればと思います。
ありがとうございました。
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参考記事:Labor immigration extremists go all in on “Big Australia”